クワガタの飼育に針葉樹が使われているのはご存じでしょうか?
針葉樹とはスギ、マツ、ヒノキ等、その名の通り葉先が針のように尖っている見た目が特徴です。その多くは建材やパルプ用材として使われています。
クワガタの飼育では、主に成虫の管理マットとして、土を使用する代わりに針葉樹マットを使用します。
この記事では、針葉樹マットを使用した成虫管理のメリット・デメリットや実際に使用した感想を紹介していきたいと思います。
針葉樹マットと記載されている商品の中には、杉やヒノキが使われているものがあります。こちらの記事では、針葉樹マットの中でも人気の高いヒノキ100%のマットを使用したレビューとさせて頂きます。あらかじめご了承ください。
ヒノキとは
概要
日本の固有種の針葉樹であり、本州の福島県以南、四国、九州の屋久島まで分布する。多雪を嫌うため日本海側にはあまり見られない。
ヒノキは、建材として最高品質のものとされる。木材の特長として、色が白く、加工が容易な上に緻密で狂いがなく、耐水性や耐朽性に富んで光沢があり、日本人好みの強い芳香を長期にわたって発する。正しく使われたヒノキの建築には1,000年を超える寿命を保つものがあり、ヒノキ材の強度は伐採後徐々に増加し、300年後に最も高い強度を示し、1000年後に伐採時の強度に戻ると言われている。
【wikipediaより】
香りの効果
抗菌効果
ヒノキの香りの持つ効果として真っ先にあげられるのが、高い抗菌効果です。森や林などの空気中には、腐朽菌(ふきゅうきん)と呼ばれる木材を腐らせる菌類が生息しています。その腐朽菌の中でもよく知られているのは、オオウズラタケやカワラタケなどですが、これらの菌類は木材の組織を分解してしまうため繁殖を防ぐ手立てが必要です。このような外敵から身を守るためにヒノキは、香り成分の中でも抗菌効果を持つ「ヒノキチオール」を漂わせて菌類への対抗策としています。
このヒノキチオールは、1936年、野副鉄男博士が発見したヒノキ由来の成分で、腐朽菌以外にも、緑膿菌や黄色ブドウ球菌、歯周病菌など人間に悪さをする色々な菌の対策にも使われています。
〈香りの印刷所プルーストより〉
防虫効果
ヒノキの香り成分には「テルペン」と呼ばれるものがありますが、こちらの成分には優れた防虫効果があることがわかっています。もともとは、植物が外敵から自身の身体を守るために生成する香り成分ですが、とりわけダニに対して高い防虫効果を発揮するのが特徴です。そのため、アレルギー体質の人やぜん息持ちの人からの需要が高く、成分をしみ込ませた建材や、壁紙を用いて家を建てるといったケースも少なくありません。
〈香りの印刷所プルーストより〉
消臭効果
先ほど紹介したヒノキチオールには、高い消臭効果も確認されています。空気中の濃度が低くても、臭いのもとになる雑菌類の繁殖を抑制できることから、現在では多くの消臭用品にも使われるようになりました。また、消臭効果の話しとは少し逸れますが、ヒノキの効能としてホルムアルデヒドを吸着する働きにも注目が集まっています。
ホルムアルデヒドは刺激臭があるだけでなく、頭痛や吐き気など人体に様々な有害な作用を及ぼす物質です。シックハウス問題が世間を騒がせたことがありますが、ヒノキの香りを上手に用いることによって、こういったトラブルのリスクを抑えることもできます。
〈香りの印刷所プルーストより〉
リラックス効果
ヒノキの香りには、人体をリラックスさせる効果があることで有名です。その理由は、ヒノキの香り成分の「α-ピネン」にあります。α-ピネンは、ヒノキやマツ、スギなどの針葉樹林に多く含まれる香り成分です。木の種類によって香りは異なりますが、ヒノキの場合は温かみのある心地よい香りとされています。そして、そんなヒノキの香りに含まれるα-ピネンは、人間の心身をリラックスさせ、疲労回復や安眠を促す効果を持っています。森林浴をしたときに、清々しい気分、安心した気分になるのは、植物たちが放つ香り成分に秘密があったのです。
〈香りの印刷所プルーストより〉
そのほか、香りに関する情報は「香りの印刷所 プルースト」さんがわかりやすくまとめているのでご覧ください。
ヒノキマットのメリット
コバエやダニが湧きづらい
コバエは網戸の隙間、エアコン、換気扇からも入ってきます。
ダニは外出した際の人やペット、外に干した布団、通販購入時の段ボールにもくっついてやってきます。
マット飼育をする上で防ぎようのない雑虫ですが、ヒノキマットだとコバエやダニが寄り付こうとしないため非常に湧きづらいです。ダニに関しては新鮮なヒノキの木屑の中で死滅することもわかっています。しかし、香りの力が弱まってくると引き寄せられ、卵を産み付ける事もあるので、絶対に湧かないという訳ではありません。
香りが良い
ヒノキには高い消臭効果があり、97%のアンモニア臭を消せるという実証結果が出ています。ヒノキ自体も非常にリラックス出来る良い匂いがするので、室内で飼育される方にとっては、いい匂いで雑虫を寄せ付けないと一石二鳥の効果ではないでしょうか。
見た目が良い
高級建築材の桧は、見た目の空間がパッと明るくなるような木目の白さが特長です。マットとして使用することで、明るく軽やかな雰囲気を出してくれます。
長期保管できる
コバエやダニなど雑虫を忌避させる効果があります。保管時に卵などを産み付けられる事もなく、安心して使用出来ます。
また、基本的に乾燥した状態で梱包されているので、カビが発生する心配もありません。
クワガタ飼育以外に使える
ヒノキの香りの効果は当然クワガタ飼育以外で使っていただけます。ヒノキマットを小さなケースや不織布に入れて置くだけです。臭いが気なる靴箱やトイレに置けば消臭効果を発揮して、寝室に置けばリラックス効果を得ることが出来ます。生活において決して無駄になることはありません。
ヒノキマットのデメリット
使用用途が限られる
クワガタやカブトムシなどの成虫管理専用になりますので、幼虫管理や、産卵用に使用する事は出来ません。クワガタの幼虫は木屑を食べますが、ヒノキは防虫効果の高い木材になるので、何らかの悪影響を及ぼす可能性があります。
クワガタにとって良くない可能性
ヒノキに含まれるヒノキチオールが人体に害のない低毒性であることから、昆虫にとっては有害ではないかと言われています。主な悪影響として寿命が短くなるのではないかと言われていますが、根拠としては何もありません。実際にヒノキマットを使うかどうかは昆虫ショップでも意見が分かれているので、使用に関しては自己責任でお願いします。
価格が高い
一般的に販売されているヒノキマットだと、価格は5ℓで500円前後になります。
土のマットだと10ℓで500円前後になるので、比較すると高く感じると思います。
ホームセンターでは取り扱いがなかったり、種類が少なかったりするので通販にて購入する方法が一般的かもしれません。
交換時期がわかりづらい
ヒノキマットは水分を吸収して劣化してくるとオレンジ色になってきます。しかし、見た目にはそれ程ベチャッとなったように見えません。異臭もそれほど強くしないため交換時期の判断が難しいです。しかし、見た目にはまだ使えそうでも、劣化は進行しているので、そのまま使い続けるとダニは普通に湧いてきます。ヒノキマットの劣化に関してはケースの底や横から確認した方がわかりやすいです。
実際に使った感想
取り扱いやすさ
ケースの入れやすさに関しては土のマットと変わりません。しかし、ケース外にこぼれても防虫効果やリラックス効果があることから、それほど気になりません。粒子が粗目のヒノキマットであれば水苔のように手掴みでケースに入れやすいので取り扱いが楽です。
ニオイについて
実際に使用してみてニオイの持ちはそんなに良いとは思いませんでした。約1週間でヒノキの香りは弱くなり、3週間で異臭が勝ってくる感じがしました。個体差はあると思いますが、我が家のパラワン♂(104.3ミリ)は4週間過ぎて、そろそろ替えようとした所ダニの発生を確認しました。
これはヒノキマットを深さ3センチ程しか飼育ケースに入れていなかったことが原因だと思われます。もっと深めにヒノキマットを入れればニオイの持ちも変わり、ダニの発生も遅らせることが出来たかもしれません。
ゼリーとの相性
我が家では、ゼリーの表面がマットで汚れないようにエサ皿を使用しています。
土のマットではゼリーの表面にマットが付着しましたが、ヒノキマットでも変わらずゼリー表面にマットが付着します。細かい粒子は総じて、顔や足に付着しやすいようです。粗目のヒノキマットであればゼリー表面の付着はあまりみられませんでした。
針葉樹マットの粗目と細目で比較検証もしています。
合わせて参考にして下さい。
まとめ
今回ヒノキマットを実際に使用してみて、使いやすいと感じました。
見た目も良く、多少劣化してきてもベチャッと見えないところが非常に良いです。
しかし、マット交換を怠ると容赦なく雑虫が湧きますので、あらかじめ交換する日を決めておくなど、見た目に左右されない管理方法が必要です。
常に新鮮な状態を保てれば飼育スペース全体が、ダニやコバエも寄せ付けないリラックス空間になることは間違いありません。
交換にだけ気を付けて、ご自宅でぜひ一度使ってみて頂きたいです。
余談ですが、花粉症をお持ちの方でヒノキと聞くと症状が出るかもしれないと考えるかもしれませんが、木材として使用する場合は花粉が発生しないため問題はありません。私が身をもって証明済みです(笑)
この記事を読んで何か参考にして頂ければ幸いです。
不明な点などあれば気軽にコメントしてください。
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